【ネタバレ有】スパイダーバースの吹き替えがやばかった話

先週の金曜日に、スパイダーバースを観てきました。

私はスパイダーマンは1作目は見てるってくらいののレベルで、なんかで見た予告がかっこよかったしちょうど時間にあったからくらいの感覚で観にいったんです。

のっけから後悔しました。

なんでこんな観るの遅かったんだ!!って。
IMAXあったのかよ見たかった!!ていうか早く観ないと終わっちゃう!!やだ!!あと2回は見たい!!ってな具合に。

一人で行ったもんだから如何せん語り合える人がいなくて、感想ブログを駆け回ったけど満足できなかったので自分で書くことにしました。


のっけからネタバレなんですけど、主人公のマイルスが一度はビビって飛べなかった空を、信じて飛んだあの瞬間の、あの美しすぎる多分5秒かそこらの落ちていくあのシーンだけで1800円余裕で回収できるから頼むから映画館で観て欲しい。

私が見たのは吹き替え版で、見た次の次の日に二回目を見るとは思わなかったんだけど、映像に中毒性がありすぎて吹き替え版をまた見てしまったんです。
2回見るとしたら次は字幕かな、っていつものパターンは完全に裏切られました。
吹き替え版がとてもとてもすきだったからです。
あととにかく大画面で映像を焼き付けたい。脳に。
目が慣れたら字幕版も見たいけど多分5回くらい見ないと無理。ボヘミアンとまでは行かなくていいから延長して。IMAX見せて。

賢章先生にまもさんにゆーきさんてのは知ってたので安心して見てたら出てくるわ出てくるわ大塚さんに玄田さん等々豪華声優陣。
知らなかった声優さんもめっちゃ素晴らしくて調べたらやっぱりすごい人たちばっかりでもはや鼓膜への暴力。エンドクレジットで坂本真綾さん他知った名前ばっかだな!!??って滅茶苦茶びびったです。そりゃ最高なわけです。

脱線しました。

えーと、それじゃあ最初から説明しますね!
ざっくりいえば、スパイダーバースはスパイダーマンが死んだ世界で、スパイダーマンの力を手に入れた主人公マイルズが平行世界からやってきたそれぞれの「スパイダーマン」と一緒にブルックリンを守るために戦う話です!つまり平成ジェネレーションズでヒーロー大戦です。

スパイダーマンくそニワカな私がついていけるので事前知識はいらないです。多分スパイダーマンがなにか分かってなくても大丈夫。だって最初に説明してくれるから!

同じだけど違う存在のパラレルヒーローがいっぱいというとっちらかりそうなその設定を主人公マイルズが、「望んでないのに手に入れた力」を覚醒させる王道ヒーロー継承モノに構成したのが最高でした。滅茶苦茶熱かった。
キャッチコピー「運命を、受け入れろ」とか完璧すぎる。神だ。

マイルズを導くはずの、私たちのよく知る正規(?)スパイダーマンは死亡し、なんやかんやあって意気消沈するマイルズの前に現れるピーター・B・パーカー。そうB。アナザースパイダーマンひとりめ。
MJと離婚しバスタブでしくしくと泣きピザ自分を見つめ直すためにタツノオトシゴビデオを見ているうちにすっかり老けてしまったダメヒーロー。ピザ食ってるうちにお腹が出ちゃったもんだからスウェットを着用してるヒーロー。
くたびれたオッサンスパイダーマンスパイダーマンを継ぐ少年の邂逅。
最悪の出会いから始まる師弟物語。
出会いが最悪の場合大抵最高な別れが待ってるって約束されてるからね!!王道は王道ゆえにすばらしい!!すき!!
なにより!!まもさんがねーーーーまもさんがねーーーー!!滅茶苦茶良いんすよ!!
あのやる気のない小狡いでもカッコイイおじさん!!!それにブーブーと文句を言う賢章先生!!くそかわいい!!なんでコンビだ!!「なんで僕のスパイダーマンはオッサンなんだ」からの「あんた最高だよ」のセリフのチョイス!!翻訳の人大好き!!

あとこれは全然予想してなかったんだけど、気づけばなんか3回くらい泣いてました。

マイルズはお父さんと上手くいってなくてちょい悪げなアーロンおじさんと仲良し。わかる。親戚のそういうおじさんに懐く気持ちわかる。そしておじさん稲田徹さんやった。どこまで攻めてくるんですかありがとう。
そして自分より弟に懐かれちゃってるお父さんの複雑な気持ちもわかる。
どちらかというとオタク気質なアーティスト寄りの主人公とは正反対の、でっかいからだで警察官でうるさい頑固なお父さん。マイルスから見たら「少し恥ずかしい」お父さん。スパイダーマンが嫌いと言ってる警察官の父親とスパイダーマンの力を継承しちゃった息子。なんだその組み合わせ。ろーそんのザクシューばりの美味しい+美味しいじゃないですか。
強面なのにお父さんの顔してる表情が実に繊細で最高です。3Dってここまできたんだって思いました。
「愛してると言え」「父さん正気!?」のくだりが最高なのでみなさまぜひ劇場でもだもだしてください。
スパイダーバースに描かれる「お父さんと息子」「おじさんと甥」「師匠と弟子」の三軸。微妙に似ていて、でも互いにそれ以上にはなれない三つの関係がそれぞれの形で展開していくエモいすぎる作品でもあります。

映像に殴られたと言っても過言ではないのに全然そこに進めませんが続けます。
主人公はどこまでも等身大の少年で、それを賢章先生が見事に演じてて、本当によかった。
マイルズがスパイダーマンになっちゃったと気づいた時の混乱、それにピーター(Bじゃないほう)がかける「分かるよ、頭の中ごちゃごちゃだろ?」の優しさ。惚れます。劇場で聞いて。
頭も良いかもしれない。才能もあるかもしれない。でもヒーローになりたいと思ってはいなかった。「望んでない」ってセリフに込められた戸惑いとか不安が本当にリアルだった。力を手に入れて、でもどうにもできなくて、家に帰るけど両親には言えない。そんな描写がたまらなく泣けた。別に泣け!ってシーンじゃないのに。
そんなマイルスの、あの弱々しさからのクライマックスでの覚醒。劇場で体感する、殴られても殴られてもどこまでも立ち上がる賢章先生の息遣い。痺れるほどかっこいい。
ネイティブじゃないから字幕ではどうしても分からない演技も、吹き替えならわかる。初めて「これは吹き替えしか見たくないかもしれない」って思ってしまった。見るけど。
私の記憶力がクソなところはあるけど、最初見た時はどの人たちも「声優さん」じゃなくてキャラクターにしか聞こえなかったから、多分吹き替えが好きなんだと思う。
あと、上手く言えないんですけどまもさんと賢章先生の洋画特有な感じのあの絶妙にかっこ良くて小気味よいセリフのやり取りがとにかく最高でずっと聞いてたかったです。

そんなふたりにキャッキャしてたら、これまたどストライクなデザインのスパイダーマンが出てくるんですよ。正直デザインから落とされました。スパイダーグウェン。
黒と白が基調のスパイダーウーマン。ある事情から片方一部刈り上げっぽくなっちゃうんですけどそれがまたかっこいい。あとドラマーとかどこまで属性盛れば気が済むんだ。ありがとうございます。彼女のライダーキックは抜群に美しくてかっこよいです。かっこよさとかわいさのベストマッチ。一体何回惚れさせたら気が済むんですかこの映画。BluRayはよ。

そんな感じで、あんまり事前情報入れずに行ったものだからこれだけでおなかいっぱいってなった所にやってくるスパイダーノワール。大塚さんやめて殺しにくるのやめて。カラフルな世界の中での白黒のスパイダーマン。コートにサングラスっていうスタイルの、ど王道なハードボイルド探偵。好物はミルクセーキ。かわいい。
ハードボイルドさ満載のセリフの数々が大塚さんボイスにより放たれる威力はやばい。全てが必殺級で悶絶する。えげつないくらいかっこいい。存在が。室内なのにはたはたはためくコート。天才か。あと白黒の世界から来たから色の識別が苦手なの可愛い。意外と良いツッコミをするので普通の時もじわじわとボディブローを食らいます。キャスティングありがとうございます。

この辺でもう処理力が嬉しい悲鳴を上げてるんですけどこれに加えてまだ居ますからね!!
ペニーパーカーとピーターポーカー!
ペニーちゃんくっっっそ可愛いんですよ!!日本!!アキバ!!絶対これ日本萌えキャラだろ!!っていうあざと可愛さが振り切れすぎてて最高に可愛い。少女とロボ!!ロボなんですよスパイダー部分が!!しかも喋らない感じのモニターに感情がでるベルトさんタイプ!!ぴこぴこした音が超絶かわいい!!!
ピーターポーカーは絶妙な声をした豚さんでした。スパイダーマンだけど豚さんでした。ここで豚さんいれてくるセンス好きです。ただの公式なんだと思うんですけど。
カートゥーン系(多分)のポーカーはギャグです!みたいな木のハンマーぶん回して戦ってる。スパイダーマン界のコロコロコミック担当みたいな豚さんでした。超絶良いキャラしてました。この人の声とキャラもベストマッチでした。
あとから調べたんですけど、全員原作があるってどういうことなんでしょう。買わなきゃ。

ピーターとマイルスとグウェンと、文字通り作画が違うノワールとペニーちゃんとピーターポーカーが、作画違うのにおなじ世界観で戦ってる技術力が怖い。あと、あの昔印刷のドットっぽいタッチが全編通じて再現されてるの超やばいと思う。だって揺れる懐中電灯とかにもそれ反映されてるんですよ。もはや変態だ。

変態なんですよ映像が。執念としか思えない作り込みで、どのコマで切っても多分イラストボードになる。
私の好きなのはブルックリンの夜の道路です。雨上がりなのかな、濡れた道路に、反射する夜の街がどちゃくそかっこいい。わたし的スパイダーバーストップオブ背景はこの濡れてるアスファルトです。
そしてそこを疾走するプロウラーのバイク超かっこいい。
ちなみに、グウェンちゃんより先に私は敵キャラのプロウラーのデザインに落ちてます。黒と紫でトゲトゲしてて魔神チェイサーみがあってすごいすき。
ちょいちょい漫画のコマ割りみたいなショットが入るんですけど、それがまたハイセンスで。
わたしはプロウラーがバイクに跨りエンジンをかける足が最高に好きです。たぶんこれはハイローのせい。

映画見ながらコミックスでいちばんかっこいいシーンを大画面でばーん!どーん!みたいなことしてくれるもんだからもうカッコイイの大洪水。とにかく目が幸せで、こんなふうにコミックって映像化できるんだ、ってぞくぞくしました。正直あのかっこよさを説明出来る語彙が足りないので劇場でわかってください。頼むから見て。

あと音楽!!音楽もかっこいいです!日本語版エンディング凛として時雨さんなんですけど!なんでいちいちチョイスが完璧なんですか!!ふつーにあれ?なんかこのエンディング日本語じゃない?って気づいて日本語版エンディングテーマがあるのに気づいたレベル。かっこいいーーすきーーーで流れていくから音楽ってどこが良かったかあんまり言えないんですけどなんか絶妙によかった記憶はあります。サントラ買って確認しなきゃ。

なんだか長々と語りましたが、結局のところ「ヒーローの継承」を通して「誰だってスパイダーマンになれる」というテーマを胸に直撃させてくれたところが、なにより最高だったんだと思います。
少年も少女も、おじさんも、そして豚だってヒーローになれるし、ひとりじゃない。
あと、ヒーローじゃなくてもめちゃくちゃかっこいいおばさんもいる。
それがなにより、わたしは好きでした。

友達と都合つけたんで、どうか三月末まで公開してますように。